蝋燭朗読中目黒「不帰の初恋、海老名SA」(20140729/13時開演)

「それでも、生きていく」脚本の坂元さんが手がける、風間さんと女優さん(今回は臼田あさ美さん)一対一出演の、男女の愛を綴った朗読劇、再演。これらの魔のキーワードたちに突き動かされ、強行突破で行ってきました!
思いがけない予定変更を強いられ、バッタバタでいっぱいいっぱいな一連のあれこれは、また別記(予定)で。以下、感想です。


キャパ100名程度の劇場にギュウギュウに押し込められ(まさに、前後左右の人たちと触れ合う位の密集感)、舞台上には天井から吊るされたたくさんの丸いキャンドルが灯り、開演前から既に「これは…ヤバい空気…!」と高鳴る胸。暗転後、風間さんと臼田さんが現れ、床に置かれた水連鉢のような大きなキャンドルにそっと火を灯し、カーペットに腰を下ろして、朗読劇は始まりました。
キャンドルの灯りのみに頼る薄暗い空間で、男女の手紙とメールのやり取りがひたすら読み上げられ、息を殺してそれに聞き入る観客たち。不思議というか奇妙なひとときでした。手紙(メール)の内容が、単なる恋(愛)の告白にはとどまらない、数年にもわたる思いと行動の積み重ねだったからかもしれません。心を開かない相手に過去を明かし、受け入れようとし、相手を救おうとし、離れ、また歩み寄って赦そうとし、殉愛とも取れる行動に移そうとする。教会(いや、もっと密教的な何か)で罪人の告白を聞くのは、こんな気持ちなのだろうか、と思いました。物語のふたりが実際に“罪人”といえるかどうかは、それぞれ解釈がありそうですが。当人たち(物語のふたり)は、大人になれなかった自分を責め、悔やんで、(罪に対し)自分なりに決着をつけようともがいているように感じました。
大人になりきれなかった男女、という狙いなら、お二人はとてもいいキャスティングだったのでは!と。外見は成熟しても*1、中身は中一の少年少女で止まっている、というのが伝わってきてヒリヒリ痛かった。風間さんは、激情を押し殺した淡々とした口調(だからこそ、ラストの「嬉しかった」という吐露にうわぁぁぁぁここでかぁぁぁとジタバタした)だけど、それがかえってピーンと張り詰めた糸を思わせて、その糸がいつ切れるかという危うさに固唾を呑んだし。臼田さんは、少したどたどしいながらもまっすぐに気持ちが伝わってきて、少女ならではの純粋さに溢れてました。この少年少女を助けて欲しい、救いあげて欲しい、と、ラスト近くは完全にのめり込んでしまいました。風間さんが白シャツにデニム、臼田さんが白いワンピース、というのも、少年少女のプラトニック性が強調されてたまらんかったです。繊細でほんのり色っぽくて可憐…!
押してもはぐらかされる、あと少しというところでスッと身を引く(引かれる)、このもどかしい応酬が坂元さぁぁん!そして、坂元さん好みの俳優女優像ってのが私にもようやくハッキリしてきたぞと(俳優は瑛太さん、女優は満島さんというのが、目下の理想像なんではと)。好き、なのだけど、この朗読劇含め坂元ワールドを咀嚼し心ゆくまで堪能するには、今の私には圧倒的に“時間”が足りない。妊娠〜出産を経てますます集中力が持続しなくなり、ドラマにしろバラエティにしろ30分見続けられれば上等(なので、朝ドラの15分という尺は今の私にとって超理想的)。朗読劇の最中も断続的に集中力が途切れ、歯がゆかった、悔しかった。ベストなコンディションで、欲を言えばもうひとつの演目「カラシニコフ不倫海峡」も観てみたかった…。


と、欲を言い出せばキリがないですが、風間さんの新境地を見届けられて本当に良かったです。坂元さんとのご縁が今後も続いていきますように!


<<余談>>
13時公演には、酒井若菜嬢がいらっしゃってました。黒のノースリーブワンピース?で、ふんわりと清潔な印象はそのままに、とにかく美しかった!首から肩にかけてのラインに惚れ惚れ(舐めまわすように見てしまい申し訳ありません)。着席し、下ろしていた髪を後ろでひとまとめにして開演に臨んでいくあたり、並々ならぬやる気を感じました*2。若菜嬢の隣にも、明らかに一般女性とは違う美女ふたり(一人は、どうやら宮澤佐江ちゃんだったようです)。芸能人は骨格からして別物だ!と至近距離で目の当たりにして思い知りました。腕やら足やらの付け根の位置が!異次元!

*1:風間さん、童顔童顔と言われるし自称してるけれど、なかなかどうして年相応の味が出てきてる、と思う!

*2:若菜嬢は、自身のブログやついったで今朗読劇への対抗心をメラメラ燃やしてます